Kくんの話

出会い

Kくんを初めて目撃したのは大学の入学式の日でした。

真っ白のTシャツに爽やかなブルーのジーンズ

彼を見た人は誰もが振り返る、そんな人でした。

しかし、振り返るのは彼がタレントのようなイケメンだからでも、モデルのような長身だからでもありません。

彼の純白のTシャツに明らかにマジックで書いたと思われるあの卑猥なマークが書かれていたからです。
彼は照れ臭そうでも、見てくれよという感じてもありませんでした。ただ、お気に入りのTシャツを着てきた。そういう雰囲気でした。

彼を見た瞬間、あっと息を呑みました。

彼を見た人は誰もがそうだったと思います。

やばいやつだ!

誰もが彼を意識しつつも決して目を合わさず、そして通り過ぎてから振り返るのです。

あまりの一瞬の出来事にその時自分が何を感じたか全く覚えていません。
しばらくして、彼は純白のTシャツを前に何を思いあの卑猥なマークを書いたのかと考えたことだけは覚えています。

もしかすると、皆をびっくりさせて一気に顔を売ってやろうという野心だっかかもしれません。

しかし、かって彼と交流し同じ時間を共有したことがある今考えると、彼は書道家のような澄んだ心であの卑猥な記号を書き込んだのだと思えてなりません。

二度目の出会い

大学生活に忙しく、彼のことを忘れかけていた頃、大学の食堂で彼を見かけました。

しかし、ひと目で彼だとわかったわけではありません。

なぜなら彼は例のTシャツは着ていませんでしたし、少し背が高い位で特徴のある風貌をしているわけではありませんでしたから。

彼を目撃した時、別のヤバイ人だと思いました。

なぜなら彼は大五郎の髪型をしていたからです。

そうです。子連れ狼のあの大五郎です。

大学はやばいやつがたくさんいるなと思った時、ふと同じやつだ!と気がつきました。

ただ直感的にそう思いました。
彼の威風堂々とした物腰に、入学式のあの日の光景がよみがえりました。

このときは、まさか自分との接点ができるとは、まさか彼と友人と呼べる関係になるとは全く思いもよりませんでした。

(後日談)ちなみに彼によると大五郎ではなく、ロナウドだと言うことでした。

再度の出会い

それから彼も髪が伸びたのか、学校に来なくなったのか、2年ほど会う機会がありませんでした。

次に出会ったのが、3年時、ゼミの最初の授業の時です。

ひと目でわかりました。

卑猥なTシャツを着ていたわけではありません。

大五郎だったわけでもありません。

ただただヤバイオーラを出していました。

若干興味があったのですがしばらくはゼミ仲間の一人としてそれ以上の交流はなかったのを覚えています。

仲良くなったきっかけ

そんなある日、ゼミの飲み会があり、彼と飲む機会がありました。

今まで彼をやばいやばいと言い続けてきましたが、当時は私も少々ヤバイと言われる人種であり、羽目を外したときにまさに意気投合してしまったのです。

彼はゼミのときもそうでないときも私と一緒にいるようになりました。

彼の突拍子もない提案にこともなく合意して行動をともにする私が珍しく、また、彼の思いの寄らないことを私がすることが興味深かったようです。

彼としたことはたくさんありますが、真面目なブログを汚すこととなるので余り書けることがありません。

クラブで出会った見ず知らずの女性の家で、彼が敷き布団となり、私が掛け布団となる遊びを3人でしたことは良い思い出です。もちろん服は着たままです。

今となってはなぜそのようなことを見ず知らずの女性とすることになったのか皆目検討がつきません。

彼女にしてもそうでしょう。

彼との別れ

彼は就職活動をしませんでした。

刑法学の卒論で難民問題について論じた彼は、アフリカを救いに行くと言い残し旅に出ました。

卒業以降、一度ゼミの集まりであった以外は連絡が途絶えてしまいました。

残念でなりませんが、おとなになり落ち着いた彼を知らないのも、それはそれで幸せなのかもしれません。

おわり

スポンサーリンク
レクタングル大広告
レクタングル大広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル大広告